IPアドレスを晒しても通信の秘密は侵害しないよ!

ちょっと強気なタイトルにしてみた。

経緯

よくまとまっているので引用しちゃいます。
だめだこんちくしょー!ゆるさないぞーってことだったらごめんなさい(__)m
通信の秘密についてのちょっとした話 より

IPアドレスが日記で晒されていたことについて。元は
外国っぽいところからアクセスあったー! - $ dropdb 人生
およびブクマ。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/dropdb/20080708/1215451794

で、通信の秘密を侵害しているんじゃないかと言う話。
特定電気通信と通信の秘密とはてなアイドルと - へぼへぼプログラマ日記
特定電気通信の通信の秘密に関するまとめ - へぼへぼプログラマ日記
otsuneさん、そりゃあんまりだよ… - へぼへぼプログラマ日記
ブログ管理者が、コメント者のIPを晒す行為について - Initialized Completely

id:dropdbさんが、コメントどこからきたかなー
っておもって調べて、おお、こんなIP!っていってダイアリーに書いたら、
IPさらすのって違法じゃないの?っていう指摘があった、みたいな話。


違法だと考えているid:nihenさんは、「通信の秘密」を侵害しているよ!って
思っているみたい。
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律に出てくる、
「特定電気通信役務提供者」っていう言葉がでてきて話しがごちゃごちゃしてきた印象がある。

主張

ブログの持ち主というかユーザーというか(以後ブログ主)が、
コメントを付けた人のIPを晒しても
電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は侵害しない。

前提というか立場というか

  • プライバシーの侵害かという点は考えない
  • 名誉毀損についても考えない
  • その他、通信の秘密以外の事は考えない

誤解されないように補足

だからIPを公開しちゃえとか、
でもIPは公開するな、とかいう事ではありません。

主張の根拠

法律的な背景

まず、違法になるかもしれない根拠の条文は、
電気通信事業法

第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。」なんですが、

ブログ主がIPアドレスを見た時は、
電気通信事業者の取扱中に係る」情報ではないと考えます。
ブログ主は、電気通信事業者(はてな)が取扱いを終えて、
ブログ主に送った後にしか見られないからです。


なぜ電気通信事業者にブログ主がならないかについてを述べます。


このために、まず、「電気通信事業者」とは何か、
法の定義を確認すると、
電気通信事業者 電気通信事業を営むことについて、第九条の登録を受けた者及び第十六条第一項の規定による届出をした者をいう。」
と、あります。
なんか「届出をした」業者さんの事みたいですね。


いちおう「電気通信事業」もおさえておきます。

電気通信事業 電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業(放送法 (昭和二十五年法律第百三十二号)第五十二条の十第一項 に規定する受託放送役務、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律 (昭和二十六年法律第百三十五号)第二条 に規定する有線ラジオ放送、有線放送電話に関する法律 (昭和三十二年法律第百五十二号)第二条第一項 に規定する有線放送電話役務、有線テレビジョン放送法 (昭和四十七年法律第百十四号)第二条第一項 に規定する有線テレビジョン放送及び同法第九条 の規定による有線テレビジョン放送施設の使用の承諾に係る事業を除く。)をいう。


ながーーー
ながいので、間のかっことかをぬいてみます。

「電気通信事業 電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業...をいう。」

例外が色々書いてあったから長かったんですね。


あれー「電気通信役務」ってなんだろー?って思うかもしれないので、

電気通信役務 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをいう。」

あわせて「電気通信設備

電気通信設備 電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいう。 」

法律的な背景からの論理的な帰結

もう、これで分かるかもしれませんが、
ブログ主は電気通信事業者じゃありません!
なぜなら届出なんてしてないから!
はっきり書いてあった。よかったよかった。
だから、通信の秘密は侵害しないのです。

これだけじゃあんまりだから

えっと、届出をすべきなのにしてないだけ
っていう意見もあるかもしれないですね。


すると、
ブログ主は
電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをしているか、
って事が論点になります。
(まあ他人の需要に応じるためか、とか、事業かとかもありますが)


そこで、
id:nihenさんがid:hazy-moonさんの所のコメントに書いてくれた判例を参考にしてみます。
これはまたなんとも読みづらいのです。。。
「第3 争点に対する判断」という所のイをみてみると、その中に

ウェブサーバの記録媒体ないし送信装置に情報を送信する必要があるが、この情報送信は、飽くまで発信者が不特定多数の者に対し情報を送信するためだけに行われるものである。ウェブサーバに要求されている役割は、あくまでも当該情報の通過点の1つとして当該情報を不特定多数の者へ送信する作業を行うことのみであり、ウェブサーバないしはその管理者が当該情報の最終的な受け手となって、自ら当該情報を利用することは想定されていない。

という判断があります。
情報の送信先が問題のようです。


ブログ主は、発信者からみて
「当該情報を不特定多数の者へ送信する作業を行うことのみ」を要求している相手ではないし、
むしろ不特定多数の中の主たる送信先であると考えます。


ぶれいく

そうでないとしても的なはなしとか、
ちょっとコメントで書いて気にいっている
郵便屋さんで考えてみるはなしも
書いておきたい気もするけれども、
ちょっとここでひといき。